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年間キャンペーン・農業から「食業」へ 「悩める豚丼」(上)
登録日時:2011/01/04 14:51 [ 豚丼ニュース ]
- 2011年1月3日掲載十勝毎日新聞紙面より -

 十勝には豊富な素材・食材という「宝」がある。これをどう活用すれば、地域に住む私たちがより「豊かさ」を実感できるようになるのか-。年間キャンペーン「農業から『食業』へ」の第1部は、十勝を代表する料理「豚丼」のほか魚介、スイーツなどの現状と、全国に向けたブランド力アップへのヒントを探った。

発信しきれぬ「帯広の味」

 「帯広の豚丼は今以上に全国に知れわたる可能性を秘めている。アタックしないなんてもったいない」

 昨年開かれた「B級ご当地グルメの祭典!B-1グランプリin厚木」で初出場でゴールドグランプリ(優勝)に輝いた「甲府鳥もつ煮」。これを出展した「みなさまの縁をとりもつ隊」(山梨県甲府市)の土橋克己代表は「B-1に出ないのは、もったいない」と強調した。昨年12月に帯広市内で開かれた講演会では、B級グルメの草分け的存在で同グランプリに2度優勝した「富士宮やきそば」の地元、静岡県富士宮市の小室直義市長が「豚丼は参加しないのか」と水を向けた。

 帯広を代表する食べ物である豚丼の全国的知名度は高い。

 昨年10月の日本経済新聞別刷りで専門家が選んだ「食べに行きたいご当地グルメランキング」では、富士宮やきそば、甲府鳥もつ煮に続く3位を獲得した。しかし、“先輩格”の目には、豚丼の潜在力をいかしきっていないように映っていた。

■物産展は常に満席
 「スープカレー、ジンギスカン…、北海道メニューが浮沈する中でも、豚丼人気は年々上昇を続けている」
 帯広市内の老舗「はげ天」の矢野整社長(48)は手応えを感じている。同店は、埼玉県、北広島市の大型商業施設に相次いで豚丼店「ぶたはげ」を出店した。昨年、新宿高島屋(東京)の物産展で初の飲食スペースを開設し、念願だった「出来たての味」を提供した。約30席は常に満席。今月東京で開かれる「全国ご当地どんぶり選手権」に出場し、全国から参加する20のご当地どんぶりのトップを目指す。

 豚丼「生みの親」として創業約80年を迎えるJR帯広駅前の元祖「ぱんちょう」。今や客の7割近くを地元以外が占める。数年前からは台湾、シンガポールなどアジアからの観光客も増えた。3代目の阿部幸子さん(78)は「宣伝もしないのに口コミで広がっている。外国人にも好評です」と話す。市内東部に店を構える「とん田」は開店から7年ほどだが、テレビの全国放送で相次いで紹介され、一躍観光客が行列を成す人気店になった。ここも管外客の割合が高い。小野寺洋一店長(40)も「豚丼は一過性のブームではなく、『外から食べに来る帯広の味』として定着したと感じる」と語る。

 外からの評価は高い。しかし、全国に向かって踏み出しているのは、「はげ天」など一部にとどまるのが現状だ。

■「まとめ役」も不在
 個店による競い合いだけでなく、地域一丸のPRはできないのか-。ハードルがいくつかある。元は家庭料理で、材料や調理法もシンプルだが、使用する肉の部位やフライパン焼きか網焼きかなどは各店で異なる。また「家庭で食べるのが当たり前なので、市民も『地域自慢の味』と認知していない」という事情があり、地域住民からの盛り上がりにも欠ける。

 「食べ歩きなどの観光客が喜ぶ仕掛けなどで豚丼を観光資源として活用したいが、環境が整っていない。スイーツは生き残り策を講じるまとめ役がいて事務的機能も整っているが、豚丼にはそれがない」。そう語る帯広観光コンベンション協会の松山豊専務理事は、「個人的にやきもきしている」と打ち明けた。

 全国への発信力を強化する手掛かりを、B-1効果が28億円とも試算された「甲府鳥もつ煮」のふるさと・山梨県甲府市で見つけた。優勝に至るまでには関係者たちの壁を乗り越える努力があった。 (原山知寿子、関根弘貴)

<B-1グランプリ>
 「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」(通称・愛Bリーグ、本部・富士宮市)が主催するイベント。安くておいしい名物料理が全国から出場、来場者の箸の重さによる人気投票などで順位を決める。昨年、神奈川県厚木市で開かれた第5回大会には過去最多の出場46団体、来場者43万5000人を記録した。第1回、第2回の優勝は富士宮やきそば、道内勢では第1回で室蘭やきとりが3位、第5回でオホーツク北見塩焼きそばが10位に入った。今年は秋に兵庫県姫路市で開かれる予定。

自然派ラーメン めん吉西帯広店

十勝豚肉工房 ゆうたく

ぶたいち 帯広総本店

ぶたどん処 ぶた屋

帯広名物 ぶた丼のとん田

おいしんぼレストラン あしょろ庵

おびひろ えび天 

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