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豚丼の魅力全国に発信を
登録日時:2013/02/04 15:30 [ 豚丼ニュース ]
 「十勝の豚丼を考えるセミナー」(十勝毎日新聞社主催)が15日、帯広市内の十勝農園(西1南9)で開かれた。十勝総合振興局の「ご当地グルメ磨き上げ事業」(同社が企画、受注)の一環。「十勝の豚丼の過去・現在・未来を語る!」をテーマに、管内の豚丼店主や生産者、料理家がパネリストとなり、豚丼の今後の在り方について意見を交わした。セミナーの要旨を紹介する。(文・山岡瑠美子)


 <北村> 子供の頃、豚丼はどのような位置付けにあったのか。
正月などの特別食
 <村田> 豚を飼育している所が少なかったため、一般的に豚肉は正月などの特別食。私の父は獣医だったので往診の帰りに豚肉をもらい、比較的豚肉を食べる環境にあった。
 手に入った肉を3ミリの厚さに切り、外でまきをたいて網で焼いた。当時はタマネギがなくナガネギを一緒に焼き、しょうゆと砂糖で作ったたれを付けてご飯の上に載せて食べた。まさに今で言う「豚丼」だった。戦争で食料難になると、「かます」という袋に豚肉と塩を入れて発酵させた。茶色い表面を削り、中の肉を薄く切って焼き、塩豚丼にして食べた。

 <北村> 豚丼の歴史はどのようなものだったのか。
 <矢野> 少ない食材で手軽に作れる家庭料理だった。専門店で豚丼を提供したのは「ぱんちょう」が最初だと思う。十勝はかつて観光の目玉がなく、私は約13年前に初めて、豚丼普及を目指して本州の物産展に出展した。当時は帯広や十勝は知名度がなく、豚丼はそれ以上に認知度が低い。「トンドン」と言われたこともあった。マスコミが注目するようになってからは、豚丼が全国区になっててきたと感じている。一丸となってさらに豚丼の良さを全国に発信することが大切。

 <北村> 十勝の養豚の歴史とホエー豚の素晴らしさは何か。
ホエー豚十勝が一番
 <大美浪> 私の住む大樹町は1962年ごろ、全道で一番、豚の頭数が多かった。土地がやせた地域だったので、豚の堆肥で土を肥やすことが目的だった。豚にホエー(乳清)を与えたのは生ハムを作るため。イタリアパルマの生ハムは、脂を軟らかくするため豚にホエーを飲ませる。だから出来上がった肉がおいしくなったのは偶然だった。各地でいろんなホエー豚が出てきているが、十勝が一番と自負してこれからも生産していきたい。

 <北村> 炭火やフライパン、グリル焼きなど、豚丼の系統や、消費者目線から見た豚丼の魅力は何か。
焦げが特徴の一つ
 <馬渕> 豚丼のおいしさの一つは味付け。しょうゆ、砂糖、みりんなど、日本人になじみ深いものだった。二つ目は香ばしさ。フライパンで焦げるように焼いたり、たれを煮詰めてかける、直火で焼くなど、焦げが豚丼の味と香りの特徴の一つだと思う。
 豚丼の魅力は家庭で簡単に調理できる点。豚の角煮を作り、すり下ろしたナガイモと合わせた「豚トロロ丼」を考案したことがあるが、手間がかかるため豚丼ほど浸透しなかった。

 <北村> おいしい豚丼の食べ方は。
トッピングで変化を
 <矢野> トッピングで変化を付けてはどうか。自分の好きな食材で豚丼と合わせて新しい発見をするのが良い。賄いではよく小ネギを刻んで食べる。
 <村田> 豚肉はビタミンB群が豊富で疲れが取れるが、食べ過ぎると肥満になる。栄養学的にみると、十勝名物の豆を取り入れるとバランスがいいのではないか。
 <北村> 肉の部位による味の違いは何か。
 <大美浪> 腕肉は、筋肉のきめが細かく煮込みに合う。肩ロースは頭とお尻で味が違い、お尻は筋肉と脂肪が程よく、私は豚丼で食べるときはこの部分が一番好き。ロースの前側は脂肪も程よく入っていて、焼くのに適しており、後ろはハムなどの加工向き。バラは脂肪と赤身が交互に三層になり、豚肉本来の味が出ておいしい。もも肉は筋肉のきめが粗いが、内ももは脂肪が程よく入り、どんな料理にも使える。

 <北村> 家庭で上手に火入れするこつは。
 <馬渕> フライパンである程度強火で焼くのがポイント。たれは完成されているので味の変化を楽しむ。こしょうやさんしょう、山ワサビなど、刺激のあるものをぶつけてさっぱり食べるのも良い。油を変えるのも一つ。すりごま、かつお節など別のうま味成分で一手間かけるなどの工夫をしてほしい。

 <北村> 皆さんにとっての豚丼とは?
 <村田> 十勝から豚丼という名をさらに広げていきたい。他の地域に取られるのは残念。
 <矢野> ときどき食べたくなる庶民の味。みんなが自然体で味を守り続けてきた結果だと感じる。
 <大美浪> 豚丼の良さは手軽でおいしいところ。
 <馬渕> カレーライスのように頻繁に家庭に登場する存在になってほしい。調理の腕を磨きたいと思ったら、店舗に足を運んで質問しても良い。(文中敬称略)

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十勝郷土料理研究会会長 村田ナホ氏
はげ天(帯広)社長 矢野整氏
源ファーム(大樹)社長 大美浪源氏
十勝農園(帯広)料理長 馬渕善範氏
■コーディネーター
グロッシー(帯広)社長 北村貴氏


※十勝毎日新聞2013年1月25日掲載分より

御食事処 てんや

竹葉寿司

日本料理 もみじ乃

ご馳走家 ゆたか

豚丼のはなとかち

自然派ラーメン めん吉西帯広店

十勝豚肉工房 ゆうたく

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